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治療される病気

このウェブサイトは2003年に作成されたもので、さい帯血で治療される疾患を3つのカテゴリーに分類した最初のウェブサイトです:

  1. 標準治療
  2. 臨床試験での治療
  3. 実験的治療

適切な形態のさい帯血バンキングを選択する前に、2種類の治療方法を区別しておくことも重要です:

  • 他家投与 - 適合するドナー(兄弟姉妹または非血縁ドナー)から採取された幹細胞を移植します。
  • 自家投与 - 患者自身の幹細胞を投与します。

親が公的バンクにさい帯血を提供する場合、非血縁同種移植ドナーを探している世界中の患者を支援することになります。親がファミリーバンクにさい帯血を保管する場合は、子供が自家治療のために自分の幹細胞を使用するか、あるいは、近親者(兄弟姉妹または両親)が同種治療のために幹細胞を使用する選択肢が得られることになります。

このウェブページはフランシス・ベルテル(PhD)、アレクセイ・ベルセネフ(MD PhD)、ペドロ・シルヴァ・コウト(PhD)によって準備されました(©2016-2022)。

造血幹細胞を使用する標準治療

以下に記載するのは造血幹細胞移植(Hematopoietic Stem Cell Transplants=HSCT)が標準治療となる疾患です。HSCTが唯一の治療法となる疾患もあれば、最前線の治療法が成功しなかった場合や悪性度が極めて高い場合に限ってHSCTが採用される疾患もあります。一覧には、幹細胞が骨髄から抽出されるか、末梢血から抽出されるか、さい帯血から抽出されるか区別せず、造血幹細胞を使用する治療法がすべて記載されています。

HSCTが標準治療となる疾患の大半が血球系の障害です。側の図では幹細胞から血球が形成される様子をイラストで説明しています(画像をクリックすると拡大されます)。

白血病は血液免疫系の癌です。ここでの血球は白血球と呼ばれるものです。

診断同種(ドナー細胞)自家(自己の細胞)
急性リンパ性白血病(ALL) 
急性骨髄性白血病(AML) 
急性混合白血病 
急性未分化型白血病 
慢性リンパ性白血病(CLL) 
慢性骨髄性白血病(CML) 
若年性慢性骨髄性白血病(JCML) 
若年性骨髄単球性白血病(JMML) 

骨髄異形成症候群は前白血病とも呼ばれます。

診断同種(ドナー細胞)自家(自己の細胞)
不応性貧血 
環状鉄芽球を伴う不応性貧血(鉄芽球性貧血) 
芽球増加を伴う不応性貧血 
移行期の芽球増加を伴う不応性貧血 
慢性骨髄単球性白血病(CMML) 

リンパ腫は血中およびリンパ管内を循環する白血球の癌です。

診断同種(ドナー細胞)自家(自己の細胞)
ホジキンリンパ腫
非ホジキンリンパ腫(バーキットリンパ腫)) 

血球増殖性のその他の障害

診断同種(ドナー細胞)自家(自己の細胞)
貧血は赤血球の欠乏や形成異常です。......
再生不良性貧血 
ファンコニ貧血
(1988年に実施された初のさい帯血移植は遺伝性の疾患、ファンコニ貧血に対するものです)。
 
先天性赤血球異形成貧血 
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH) 
遺伝性の赤血球異常
赤血球はヘモグロビンを含み、全身に酸素を運びます。
......
鎌状赤血球症 
重症型βサラセミア(別名、クーリー貧血) 
ダイアモンド・ブラックファン貧血 
赤芽球癆 
遺伝性の血小板異常
血小板は血液の凝固に必要な血球です。
......
無巨核球症/先天性血小板減少症 
グランツマン血小板無力症 
遺伝性の免疫系障害:重症複合免疫不全症(SCID)......
アデノシンデアミナーゼ欠損を伴うSCID(ADA-SCID) 
X連鎖SCID 
T細胞およびB細胞の欠損を示すSCID 
T細胞および正常B細胞の欠損を示すSCID 
オーメン症候群 
遺伝性の免疫系障害:好中球減少症......
小児遺伝性無顆粒球症(コストマン症候群) 
骨髄性細胞貯留 
遺伝性の免疫系障害:その他......
毛細血管拡張性運動失調症 
裸リンパ球症候群 
分類不能型免疫不全症 
ディ・ジョージ症候群 
血球貪食性リンパ組織球症 
白血球接着不全症 
リンパ増殖性疾患 
X連鎖リンパ増殖性疾患(エプスタイン・バーウイルス感受性) 
ウィスコット・アルドリッチ症候群 
骨髄増殖性疾患:......
急性骨髄線維症 
原発性骨髄線維症 
真性多血症 
本態性血小板血症 
食細胞障害
これらは体外から侵入してきた細菌等を飲み込んで殺す免疫系細胞です:
......
チェディアック・東症候群 
慢性肉芽腫症 
好中球アクチン欠損症 
細網異形成症 
骨髄の癌:......
多発性骨髄腫
形質細胞白血病
ワルデンストレーム・高ガンマグロブリン血症

免疫系およびその他の器官の遺伝性疾患による移植

診断同種(ドナー細胞)自家(自己の細胞)
軟骨毛髪低形成症 
赤血球生成性ポルフィリン症 
ヘルマンスキー・パドラック症候群 
ピアソン症候群 
シュワックマン・ダイアモンド症候群 
全身性肥満細胞症 

先天性代謝性疾患のための移植

診断同種(ドナー細胞)自家(自己の細胞)
ムコ多糖症(MPS):......
ハーラー症候群(MPS-IH) 
シャイエ症候群(MPS-IS) 
ハンター症候群(MPS-II) 
サンフィリッポ症候群(MPS-III) 
モルキオ症候群(MPS-IV) 
マロトー・ラミー症候群(MPS-VI) 
スライ症候群(MPS-VII)(β-グルクロニダーゼ欠損症) 
ムコリピドーシスII型(I-cell病) 
白質ジストロフィー:......
副腎白質ジストロフィー(ALD) 
クラッベ病(グロボイド細胞白質ジストロフィー) 
異染性白質ジストロフィー 
ペリツェウス・メルツバッハー病 
リソソーム蓄積症:......
ニーマン・ピック病 
サンドホフ病 
ウォルマン病 
その他の遺伝性代謝性疾患:......
レッシュ・ナイハン症候群 
大理石骨病 

血液や免疫系に由来しない固形腫瘍

診断同種(ドナー細胞)自家(自己の細胞)
神経芽細胞腫 
髄芽腫 
網膜芽細胞腫 

さい帯血またはさい帯組織細胞を用いた臨床試験が行われている疾患や障害

「臨床試験」は標準治療として確立されていない新たな治療法について、患者を対象に実施される試験です。このウェブサイトには、患者がさい帯血またはさい帯由来間葉系細胞(MSC)に関する被験者募集中の臨床試験を世界中で検索できるページがあります。 下の表は、現在も被験者募集中であるかどうかを問わず、さい帯血またはさい帯組織を用いた臨床試験でこれまでに治療されてきた診療をチェックしたものです。

ヒトを対象とする米国の臨床試験の相(段階)は以下のように定義されます(他の国では相が異なる場合があります)。

  1. 第I相: その処置や薬剤が忍容性良好であるかどうかを確認する安全性試験。
  2. 第II相: 規模を大きくして、新しい治療の有効性を対照群と比較して測定する試験。
  3. 第III相: さらに規模を大きくして、用量や投与計画など、様々なパラメータの影響を比較するほか、市販前に副作用を監視する試験。
  4. 第IV相: リスク、有益性、至適な使用条件についてさらに詳しい情報を収集する市販後調査。

 

神経性障害

診断さい帯血  同種 (ドナー細胞)さい帯血  自家 (自己の細胞)さい帯組織  同種 (ドナー細胞)
アルツハイマー病 
自閉症
脳性麻痺
脳症  
全般的発達遅滞 
難聴(後天性感音性)  
脳室内出血 
パーキンソン病 
脊髄損傷 
脳卒中
外傷性脳損傷

自己免疫疾患

診断さい帯血  同種 (ドナー細胞)さい帯血  自家 (自己の細胞)さい帯組織  同種 (ドナー細胞)
円形脱毛症  
筋萎縮性側索硬化症(ALS) 
クローン病  
湿疹(アトピー性皮膚炎)  
移植片対宿主病(GvHD) 
狼瘡 
多発性硬化症  
乾癬  
関節リウマチ 
強皮症   
全身性強皮症  
潰瘍性大腸炎  

心血管系の疾患

診断さい帯血  同種 (ドナー細胞)さい帯血  自家 (自己の細胞)さい帯組織  同種 (ドナー細胞)
急性心筋梗塞(心臓発作)  
心筋症  
重症下肢虚血(CLI) 
心不全  
末梢動脈疾患(PAD) 
先天性心疾患の手術  

糖尿病

診断さい帯血  同種 (ドナー細胞)さい帯血  自家 (自己の細胞)さい帯組織  同種 (ドナー細胞)
1型糖尿病(自己免疫疾患) 
2型糖尿病
糖尿病性足潰瘍  
糖尿病性末梢神経障害  

遺伝性または代謝性(あるいは両者)の疾患

診断さい帯血  同種 (ドナー細胞)さい帯血  自家 (自己の細胞)さい帯組織  同種 (ドナー細胞)
フレイル 
デュシェンヌ型筋ジストロフィー  
表皮水疱症  
遺伝性運動失調症  
リソソーム蓄積症  
メタボリックシンドローム  
重症複合免疫不全症  
脊髄性筋萎縮症  
テイ・サックス病  

整形外科

診断さい帯血  同種 (ドナー細胞)さい帯血  自家 (自己の細胞)さい帯組織  同種 (ドナー細胞)
強直性脊椎炎  
軟骨損傷 
口蓋裂修復  
非癒合骨折  
変形性関節症 
骨軟骨病変  
脊椎固定術  

その他

診断さい帯血  同種 (ドナー細胞)さい帯血  自家 (自己の細胞)さい帯組織  同種 (ドナー細胞)
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)  
気管支肺異形成症(BPD)
(早産に起因する肺疾患)
 
勃起不全  
眼疾患 
瘻孔  
ヒト免疫不全ウイルス  
腎不全  
肝硬変 
肝不全 
ペイロニー病  
早発卵巣機能不全 
子宮瘢痕  
創傷  

実験的治療

細胞培養を実施する実験室で、あるいは、ヒト疾患を模倣した動物を対象に幹細胞治療が研究されている治療法です。実験的治療はヒトを対象とする臨床試験では未だ取り上げられていません。実験的研究では、最終的な治療(開発された場合)が同種となるか、自家となるかはっきりわからないことが少なくありません。

幹細胞研究が急増しており、期待できる研究を把握することが困難であるため、このセクションには一覧を掲載していません。