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NEXT Biosciences:自家臍帯由来間葉系間質細胞(MSC)を用いた自閉症治療

9月 2026

 

Netcellsが、顧客の臍帯組織から間葉系間質細胞(MSCs)の分離を開始した理由と、その方法

 

Netcellsは、NEXT Biosciencesの一部門であり、20年以上の実績を持つ南アフリカ有数の臍帯血バンクです。NEXT Biosciencesは、幹細胞の保管、遺伝子検査、生物学的製品などを専門とする非上場のバイオテクノロジー企業です。生物学的製品には、臍帯血由来の血清を用いた点眼薬や、眼科領域の疾患治療を目的とした羊膜の活用などが含まれます。

Netcellsにおける自家細胞を用いた自閉症治療への取り組みは、2025年3月に始まりました。きっかけは、5歳の男の子の母親から相談を受けたことでした。プライバシー保護のため、ここではこの男の子を「X君」と呼びます。X君は重度の言語障害を伴う自閉症(aphasic autism)と診断されており、言葉で自分の意思を表現することが難しい状態でした。母親は、X君の出生時に保管していた臍帯組織を使って、自閉症を治療する方法がないか、Netcellsに相談しました。

X君の家族は、3人の子どもそれぞれの出生時に、Netcellsで新生児由来の血液や組織を保管していました。しかし、X君の場合は採取された臍帯血の量が少なく、フローサイトメトリーによる検査で長期保管の基準を満たさなかったため、臍帯組織のみが保管されていました。Netcellsの研究所では、世界各国の臍帯血バンクで一般的に行われている方法に従い、出生後まもなく臍帯組織を細かく切り分け、小片の状態で凍結保管していました。

母親から相談を受けたNetcellsの医療チームは、神経発達に関して特別な支援を必要とする子どもたちを診療している、機能性医学(functional medicine)の専門医に連絡しました。この専門医は、作業療法士や栄養士による治療的介入と併せて、間葉系間質細胞(MSC)やエクソソームを用いた探索的な治療を行っています。Netcellsの医務担当者は、この専門医にX君の診察と評価を依頼し、MSC治療の対象となり得るかどうかを判断してもらうことにしました。 

X君は診察・評価を受け、その結果、機能性医学の専門医は、細胞療法の対象となり得ると判断しました。自閉スペクトラム症(ASD)の子どもに細胞療法を適用するかどうかは、包括的な臨床評価、適切な診断検査、これまでに受けた標準治療の経過の確認を行い、さらに検討している特定の治療法について、利用可能な科学的・臨床的エビデンスを踏まえて判断する必要があります。

一方、Netcellsの研究所では、研究開発担当者がX君の臍帯組織から治療に必要な量のMSCを製造するためのプロトコルの開発に着手していました。まず、Netcellsの保管タンクからX君の臍帯組織の一部を取り出し、慎重に解凍した後、個々の細胞に分離しました。そこから間葉系間質細胞(MSC)を培養・増殖させ、治療に必要な細胞数まで増やしました。Netcellsが開発したMSC製造プロトコルにより、凍結保管された組織を出発材料として、必要なときに必要な数のMSCを製造できることが示されました。最終的には、治療に使用できる状態の、選択的に増殖・濃縮されたMSCの細胞集団が得られました。

2025年4月上旬、機能性医学の専門医は、Netcellsで製造したMSCをX君に髄腔内投与(intrathecal injection)しました。治療は、日帰り診療施設の手術室で、外来処置として実施されました。MSCの投与時には、Benadryl(抗ヒスタミン薬)などの薬剤は併用されませんでした。また、家族には、治療後6週間はイブプロフェンなどの抗炎症薬をX君に使用しないよう指示がありました。X君が受けたMSC治療は1回の髄腔内投与のみで、その後、同様の治療が繰り返されることはありませんでした。

この治療が実施できた背景には、南アフリカでは現在、自家由来・同種由来を問わず、MSCなどの細胞療法を対象とした明確な規制枠組みがまだ整備されていないことがあります。ただし、こうした規制の整備は現在進められています。南アフリカでは、南アフリカ保健製品規制庁(SAHPRA:South African Health Products Regulatory Authority)が、医薬品および関連物質法(Medicines and Related Substances Act)に基づき、医薬品や生物学的製品の規制を担当しています。SAHPRAは、体細胞療法を含む先進的治療について、より包括的な規制枠組みの整備が必要な分野であると認識しています。現在のSAHPRAの戦略計画では、細胞治療用医薬品の製造、品質管理、臨床試験、販売承認に関する詳細な要件を整備することが掲げられています。

MSC治療から約6週間後、Netcellsの医務担当者がX君の母親に話を聞いたところ、母親はX君の成長を大変喜んでいました。X君を担当していた作業療法士によると、X君は以前よりも集中して物事に取り組めるようになり、飲んでいるジュースについても積極的に言葉で表現するようになったとのことです。また、集団活動にも積極的に参加し、課題を最後までやり遂げることができたと報告されました。MSC治療前にはまったく話していなかったX君にとって、これは非常に大きな進歩でした。

NEXT Biosciences: Treating Autism with Autologous UC-MSC

治療からわずか4か月後、X君は通っている幼児向けの学校で開催されたスペリング大会(単語のつづりを答える大会)に参加できるようになりました!

 

 

それから約1年後の2026年4月、X君のお母さんによると、X君はすっかりおしゃべり好きになり、今では仲の良い友達もできたそうです。

 

 

その後、自閉症と診断された別の6人の子どもにも、同じプロトコルを用いた治療が行われました。いずれの子どもも、X君と同じ機能性医学の専門医による治療を受けています。MSCの投与量は担当医師が症例ごとに判断して決定しましたが、通常は1回の治療につき1,000万細胞でした。治療を受けた6人のうち、2人はすでに2回目のMSC投与を受けており、残る4人も、2回目、あるいは3回目の投与を受けることを検討しています。このうち2人は双子で、父親は子どもたちの変化に大変驚き、喜んでいるといいます。それぞれの家庭からも、X君の事例と同様に、他者との交流、意味のある会話を続ける力、感情を表現する能力などの面で、顕著な改善がみられたとの報告が寄せられています。

今後、Netcellsでは、凍結保管された臍帯組織から分離した臍帯由来間葉系間質細胞(UC-MSC)を用いる細胞療法を、より多くの契約者とその家族に提供できるよう、プログラムの構築を進めています。自閉スペクトラム症の子どもに対して本人由来のUC-MSCを使用するだけでなく、Netcellsではこれまでに、臍帯組織を保管していた子どもの親族の治療を目的として、UC-MSCを提供した事例が2件あります。1件は、子ども由来のUC-MSCを父親の腱板断裂および肘の腱障害の治療に使用するために提供したケースです。もう1件は、頸椎骨折に対する複数回の手術後も慢性的な首の痛みが続いていた祖母に対し、孫にあたる子ども由来のUC-MSCを治療目的で提供したケースです。