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日本からデュークへ:HIEへの臍帯血投与
日本のステムセル研究所でさい帯血を保管し、デューク大学による拡大アクセス制度を利用し、きょうだいのさい帯血投与を受けたご家族の体験と感想をご紹介致します。
・対象のお子様:7歳(参加時点)
・経緯:妊娠42週に出産事故。新生児仮死にて誕生し、退院時に低酸素性虚血性脳症と診断。
・症状:寝返り、座位など自力での行動はほぼ無し。てんかん発作あり。
3年半前、デューク大学のEAP申込みサイトに登録。その後コロナでデューク大での受け入れが停止。日本で行われている高知大での治験にも申し込んだものの、てんかん発作と医療的ケアがあるため、治験に選ばれるのが難しいと知りました。落ち込んだところにデューク大からEAPに参加可能とのメールが届きました。
郵送での適合検査、英語での診断書の送付などのやりとりを経て、2022年6月に渡航して投与を受けました。
飛行機の乗り換えトラブルなどにより、渡米が直前で1日遅れてしまいましたが、デューク大の看護師さんがお医者さんと交渉して、投与予定日の早い時間から初診をしてくれたことにより、なんとか予定していた日に投与が叶いました。
他の再生医療経験者の方たちに経験を聞き、子供の障害が治るようなほどでは無いこと、効果が出ない子も居ることを自分に言い聞かせました。何も効果がなくても、てんかんが多少の悪化をしても、ガッカリしないように気をつけていました。
【さい帯血投与直後】
毎日あった部分痙攣が24時間ほどピタリと止まりました。癇癪も小さくなり、本人は何か深く考えている表情をしながら、手を動かしていたので、色んなものに触れさせるようにしました。股関節などの緊張も落ちました。
【投与から1週間後】
投与からしばらくは、良くなったり悪くなったり波がある子も居るし、てんかん発作が強くなる子も居ると聞いていました。てんかんは、一時的に少し強くなりましたが、普段から脳の成長期には強くなりがちな息子なので心配しすぎず観察したところ、次第に落ち着きました。
【投与から1ヶ月後】
今までは手を動かしたくても、ただ全身を緊張させて強張るだけだったのが、当たらないものの粗大運動をできるようになって来ました。歩行器も足を突っ張るだけだったのが、脚を何度も緊張・弛緩をさせたり、どうやれば動けるのか?と試行錯誤しています。まだ動けないものの、リハビリを続けたら運動機能が回復するのでは?という変化が見られます。認知機能も改善したのか、こちらの言葉への理解度が増しています。
息子を出産して彼がNICUにいる時に、臍帯血による再生医療を知りました。出産当時は知らなかったせいで、本人の臍帯血は採取できず捨ててしまったことをとても悔やみました。妹の臍帯血がしっかり保存できたので、治療をしようと決めてからもコロナなどで3年半かかりました。
障害が消えるような、ものすごい変化ではないのですが、息子はずっと諦めずに動かそうと身体を緊張させていた腕がほんの少しでも動くことがとても嬉しくて楽しいようです。汗だくになっても大喜びで手を動かそうとしています。
ずっと、「できない、できない、やりたいのにできない、身体が反り返ってしまう」だった息子が、「何度もやればたまに成功する」ということに目をキラキラさせて喜んでいます。この表情を見ると、本当にEAPに参加できて良かったと思います。
いつか自分たち親が年老いて子供の介護ができなくなる時に、彼を福祉施設などにひとり立ちさせなければならないと考えています。その時、タブレットなどを使って「喉が渇いた」「横になりたい」など、施設のスタッフさんたちとコミュニケーションができるようになって欲しいと思いました。それができるかどうかで、息子の人生の大変さが大きく違うだろうと思ったのです。
けれど、そのコミュニケーションを成立させるためには、手の動きや定頚、認知の改善が必要でした。7歳でもほとんど手を動かせず、ずっとリハビリに付き添って来たからこそ、これ以上の発達は難しいと実感していました。
今のまま成長すると、いつか家族以外に預ける時にとても苦しい思いをさせるのでは無いか?と心配していました。
さい帯血の投与をした今も、タブレットでコミュニケーションを取るのは息子にとってまだまだ高い目標ですが、少しでも改善して、今後も変化してくれそうなことがとても大きな希望になっています。