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19年間保管した自己臍帯血による治療

Říjen 2023

 

2023年5月、中国母子保健協会の第10回臍帯血会議において、以下のような報告がありました1-3。患者には「Xiaoan」という仮名が付けられました。 

再生不良性貧血患者であるXiaoanの父親は、興奮しながら次のように述べました。「子どものために保存しておいた臍帯血が、19年後に子どもの命を本当に救うとは思っていませんでした。」2021年、18歳になったXiaoanは突然、再生不良性貧血を発症しました。幸いなことに、Zhongyuan Concordeの下で天津臍帯血造血幹細胞バンクに保存していた臍帯血が彼の命を救い、順調に回復しています。これは群を抜いた、最長保存期間であり、中国における臍帯血の自己保存および自家利用の記録を更新しました。

Cured by his own cord blood 19 years laterXiaoanの両親は、臍帯血を保存するという決断を思い出すたびに、非常にありがたいと感じています。2003年にXiaoanが誕生した当時、中国での臍帯血に対する認識はまだ浸透していませんでした。子どもたちのもしもの時に備えて、臍帯血を保存しました。Xiaoanの危機を救ったのは、彼自身から採取され19年間保管された臍帯血だったのです。

2021年12月、18歳になったばかりのXiaoanは、潰瘍や出血斑などの症状を突然発症しました。一連の検査の結果、Xiaoanは再生不良性貧血と診断されました。再生不良性貧血は、血液中の過剰反応性T細胞が自分自身の骨髄を攻撃する自己免疫疾患です。また、Xiaoanには重度の再生不良性貧血の特徴である「PNHクローン」も血液中に認められました(発作性夜間ヘモグロビン尿症)。T細胞による骨髄への重度な攻撃は骨髄不全および死亡に至る可能性があります。

Xiaoanの両親は国内の多くの病院で治療法を探す中で、現在のところ臍帯血造血幹細胞移植が再生不良性貧血の有効な治療法の一つであり、患者自身の自家臍帯血を用いた臍帯血移植での治癒率は高いということを知りました。このことは、Xiaoanの家族に新たな希望の光を与えました。なぜなら両親は、2003年にXiaoanが誕生した際、臍帯血造血幹細胞を天津臍帯血バンクに保存していたからです。

Cured by his own cord blood 19 years laterXiaoanの自家臍帯血移植の治療計画が決定すると、病院とXiaoanの両親はすぐに天津臍帯血バンクに連絡しました。連絡を受けた臍帯血バンクのスタッフは、直ちに臍帯血の出荷準備に専念しました。専門技術者による再検査の結果、19年間「眠って」いた臍帯血造血幹細胞は良好な状態であり、すべての指標が出荷基準を満たしていることが分かりました。2022年12月、Xiaoanは同国の血液疾患を専門とする著名な病院である北京陸道培医院に転院し、正式に幹細胞移植を受けることとなりました。スタッフの努力により、貴重な臍帯血は移植を行う病院へ無事搬送されました。

2022年12月25日は、Xiaoanの家族にとって非常に大切な日です。北京陸道培医院のXiong Min院長による全力の治療の後、Xiaoanは臍帯血造血幹細胞の投与を受け、貴重な命の種が彼に戻されました。約1ヵ月後に集中治療室を出たときには、すべての身体的指標が順調に回復していました。そして彼は2023年2月に退院し、通常の生活に戻りました。

Xiaoanは不運ではあるものの、「幸運」でもあります。彼の病気や治療について話しながら、Xiaoanの両親は子どものために臍帯血を保存していたことへの感謝の気持ちを語りました。

臍帯血とは、新生児が生まれ、臍帯が切断された後、臍帯静脈から採取される血液のことです。臍帯血には血液を造る「造血幹細胞」が豊富に含まれており、血液疾患の治療に大いに役立っています。今日では、医療技術の発展に伴い、臍帯血は80以上の血液系疾患および代謝疾患に対し臨床応用価値があるとされています。そして臍帯血保存技術の普及が、より多くの家族の健康の保全につながります。

Cured by his own cord blood 19 years later

Xiaoanの治療例では、自家臍帯血が有効な役割を果たしました。また臨床の専門家は、天津臍帯血バンクの高度な保存技術と安全性を認めています。自家移植は、19年にわたる時を超えて命をよみがえらせることに成功し、さらに家族の健康で幸せな未来も守りました。

Xiaoanの父親は手術後のインタビューで真摯に述べています。「病院やXiaoanを治療してくれた医師にとても感謝しています。治療を受けられたのは天津臍帯血バンクのおかげです。臍帯血保管は多くの人や家族のためになる、素晴らしい取組みです。」

天津臍帯血バンクは2001年に設立され、同年に中国初となる民間による臍帯血幹細胞の凍結保管が行われたと報告されています。天津バンクは、中国の旧衛生部による業務査察に合格し、承認を受けた最初の造血幹細胞バンクであり、また、国家発展改革委員会が承認した国家幹細胞工学製品の産業化基盤の重要なパートを担っています。現在、天津臍帯血バンクのライブラリーには、臍帯血ユニットの応用事例が3,400件以上記録されています。

免責事項:ほとんどの国では、再生不良性貧血患者に非血縁ドナーを探すことが医学界の方針となっています。これは米国およびインドにも当てはまります。ただし、非血縁ドナーがいない場合、また再生不良性貧血が「後天的」(ウイルスにより引き起こされ、先天性遺伝疾患に起因するものではない)なものとみなされる場合、医師は患者自身の臍帯血幹細胞移植を行うことにより、患者が出生時に有していた免疫系を回復させることができます。この治療法のもう一つの例はポルトガルのHenriqueの話です

参考文献

  1. Tianjin Cord Blood Bank. Nineteen years like a day, holding up the "seed of life". Concord News. Published 2020-02-28
  2. Beijing Cord Blood Bank. 19 years! The longest record of autologous cord blood storage and application in my country was born. Company News. Published 2023-05-22
  3. VCANBIO. A new breakthrough in the application of umbilical cord blood! A 19-year-old patient with severe aplastic anemia was successfully transplanted with autologous cord blood, "rebooting" his vitality and youth! Weixin (Weixin is WeChat for PRC users). Published 2023-05-25